《映画“ボレロ”を鑑賞して》
運営メンバーによるブログ、今回は中館栄子先生からです。
少し前になりますが、9月2日、退院したお爺さんが“ボレロ”の映画に誘ってくれました。
「天才作曲かラヴェルの魂を奪った魔の名曲はいかにして生まれたのか」というサブタイトルのついた“ボレロ”です。
スペイン、バスク、ユダヤ、アメリカなど、他の文化の音楽に魅了されていたと言われているラヴェルですが、今回の“ボレロ”の中では、それらの要素を十分に漂わせながらストーリーは展開しており、興味深い作品でした。また、この“ボレロ”はロシアのダンサーの依頼であったことも納得できました。
私は、ベジャールとジョルジュ・ドンの“ボレロ”に最も音楽と肉体の精神性、魂を感じている人間なので、部分的には、違和感もありましたが、それは人それぞれでしょう。それより何故ラヴェルの「ボレロ」にそれ程拘っているのか、自分自身の音楽観と舞踊観を分析できたことが、新たな発見でした。
また、映画の中で、スペインのファンダンゴも登場しましたが、私も昔踊ったことがありますので、もう一度自分でも踊り、その関連性の分析、さらにボレロの語源の意味と同じく、跳躍を含むフランスルネッサンス期のヴォルタやガイヤルドとの関連についても振り返ってみたいと思いました。演奏ではパバーヌの連弾も素敵な雰囲気を醸し出していました。
さらに、この映画は知人が何人か観ていましたので、FB上でも盛り上がりましたし、同じ活動分野だと思っ
ていた友人たちの拘っている活動背景が細部まで見え、その視点の違いで、随分印象も違うものだ、ともうひとつ多面的視野で楽しめた映画でもあります。
しかし、全く知らないのが「舞曲ボレロ」とはで、ラヴェルの“ボレロ”の印象が強すぎて、舞曲としてのボレロを一度も踊ったことのない自分に気が付いたのです。今後、そんな機会があれば、尚嬉しいのですが。
